毎年7月22日に、アメリカの数学者団体が「Pi-Approximation-Day」を祝う。アルキメデスの円周率の近似値に因んだ祝いだ。それじゃ、Approximation(近似値)という名前のついたこのミュージックフェスティバルでは、いったい何を祝うかというと、あらゆる音を表現する理想的な楽器「ピアノ」を祝うのだ。実際には、世界中で日夜、無限の「ピアノ」の音の限界に挑戦するピアニストたちを祝う。
10月7日〜10月11日開催
Eve Risserのフェースブックで26歳のこのフランス人女性がグランドピアノの内臓と取り組む姿が見れる。ピアノの弦を自分の思い通りに改造中の我を忘れた作業姿だ。その過激な彼女の過去のApproximationでの演奏でもご存知のように僕たちをうまく呆然とさせてくれる。Eve Risser Trioはまるで、「きしむ音」をひとつずつ糸に通して長い曲線をえがく花の首飾りを作ってるみたいに感じる。ハードなものとやわらかいものがバランスよく隣あわせで糸に通されているその「音の花飾り」は、密だけれど、窮屈ってわけではない。彼女は数々のアヴァンギャルドジャズの影響を受け、それを勢いでもってアメリカ東海岸やヨーロッパクラシックアヴァンギャルドと結びつけてしまう。EveRisser Trioは楽器とパーカッションがどういうふうに
最高の形で共存できるかをちゃんと理解して知っているからすごい。
10月7日 Eve Risser Trio
オレゴン州ポートランドの出身であるPeter Broderickは2007年Efterklangバンドとのツアーコンサートのためにデンマークに渡る。この旅の途中でかれはベルリン出身のピアニストNils Frahmと出会う。数年前からNils Frahmはスカンジナビアジャズと、特にエレガントなKeith Jarettsの影響を受けたピアノ曲で人気がでている。中にはSimeon Ten Holt や Michael Nymanの影響も思わせるところがあるのだが、Broderikとの協演でまたさらに新しい形に仕上がっている。クラシックアヴァンギャルドに代わってこの2人、繊細なソングと、ちょっと違うフォークミュージックのリバイバルとも言える音の装飾性を魅せてくれる。そこには懐かしい静かなメランコリーがあって、ピアノ、歌、Brodericksのバイオリンが独特の輪郭を出している。
10月8日 Nils Frahm と Peter Broderick
坂本龍一の音楽を簡単に予告文なんかにまとめるのは無理だ。先駆的な活動については言うまでも無く、いろんな曲の数々とその傾向を生み出してきたこの日本人は過去30年間、知名度を上げ、いろんな賞も受けてきた。昔の彼のYMO時代のエレクトロポップから、昨年のFenesz と Carsten Nicolai のミニマル作品まで通して見ても、いつも彼の響きの有機物的存在はピアノなのだ。デジタル実験的テクノ音楽からのブレークポイントで急にピアノに戻ったりDavid BowieやDavid Sylvianとの協演用にもピアノを使った。さて、彼のTonhalleでのソロコンサートでは、どんなかたちで僕たちを驚かせてくれるんだろう。
10月9日 坂本龍一 Tonhalle にて
Acid−Pauli はサロンでディスクジョッキーをやっている。でも実際「Console」とか「The Notwist」のバンドメンバーとしてのほうが彼の名が知れている。彼の曲は独特のフィーリングを保ちながら、サイケデリックな80年代後半の「レイヴテクノ」あたりからエクスペリメンタル音楽にかけてを心地よくさまよってくれる。いろんな楽器を使って表現するが やはりピアノが彼の音楽の根源である。
10月9日 Acid Pauli SDA にて
Dustin O'Halloranはピアノの世界によくいる「神童」達の中のひとりである。ピアノを7歳で始め、11歳で初の作曲、…というと、どこかで聞いたような話しだが彼の場合、途中、今に至るまで辛くたゆまぬ多忙な年月があったりしてそんなに甘い人生ではなかった。Sara Loyと共にプロジェクト「Devics」を創立。それがきっかけで海外にも彼の名前が広がった。これがもとで、その後、イタリア郊外へのEmilia Romagnaへの移住、Ex−Cocteau Twin Saymonn Raymonde との出会い、Bella Union Labelによるその作品の発表、と続く。(Midlake, Fleet Foxes) そのほか彼は映画界と交流を持ち、Sofia Coppolaの映画「マリーアントワネット」の音楽を担当。そのメロディーの豊かさが彼をネオクラシックから抜け出させ、同時に薄っぺらなニューエージスタイルとは全然違うものにしている。その方向に進むのは普通ならかなり厳しいとされているが、彼はちゃんとそれ用の才能を持ち合わせている。現在彼はベルリンに滞在している。
10月10日 Dustin O`Halloran
Magda Mayas と Tony Buckは、ピアノのタクト性とその他のいろいろな打楽器とのコンビネーションを自由に混ぜ合わせて、メロディーと印象主義的徴候の全く新しいコントラストを表現してくれる。Tony Buck は オーストラリアのアヴァンギャルドジャズバンドThe Necksのドラマーで有名。(ちなみに同バンドのピアニストChris Abrahamsは2年前のApproximationフェスティバルで、すばらしいコンサートを聞かせてくれた。)Buckが今回協奏する相手は連想的な流れの中、怖いもの無しでグランドピアノの核の部分に迫る若手ピアニストMagda Mayas. Abrahamsとの演奏とはまったく違うものになるのだろうが、それにしても未知なるものを捜し求めて険しい道を選び進む彼には感心してしまう。ちょっと変わったこの音楽体験、興味深々である。
10月10日 Magda Mayas と Tony Buck
DJ Tolouse Low Trax と スペシャルゲスト
White Treeのメンバーはみな知名人だ。 To Rococo Rotのうちの2人であるRobert と Ronald Lippokは 電子音楽とかデジタル音楽と名のつく全ての音域の探求のために新構成する。彼らにこの音楽にかける熱の入れ方があったからこそ あの偉大なピアニストLudovico Einaudiに出会って一緒にこのエクスペリメンタルな新しい音色を追求するまでに至ったのだ。 Einaudiは映画音楽作曲家として有名である。Andrea De Carlo監督の「Das grosse Geld (大金)」、Nanni Moretti監督の「Aprile」、Stephen Daldry監督の「Vorleser(朗読人)」の映画音楽を手がけた。でもそれ以外でEinaudiはLippoksと共に何か作曲の限界を超えるものを探し続ける。彼のピアノのソロコンサートでは一瞬 坂本龍一やPhilip Glassを思い出してしまうが、ClusterやHarminiaみたいな音響をミニマル音楽とうまく結びつけて表現する。まさしくポップアヴァンギャルド界の鍵盤楽器音楽のフィードバックなのだ。
10月11日 White Tree (Ludevico Enaudi / Robertと Ronald Lippok)
Philip Cornerは現代絵画と現代音楽にとって、今年のApproximationフェスティバルをかざる最も重要な人物のひとりである。彼は50年代にニューヨークでFritz Jahoda, OttoLuening und Henry Cowell のもとで学び、パリで Olivier Messiaenのもとで学び60年代始めにはFluxus団体の中で目立つ存在になっていた。 韓国で習った習字技法を記譜法に取り入れたり、自らの音楽に韓国文化の要素をうまく補充して、ミニマル音楽の領域を超える新たな音の美を完全なものにしていった。彼は数多くのピアノ曲、コーラス曲、電子音楽を作曲。彼の絵画作品も彼の音楽と同じ高レベルを持ち 両者の間にははっきりと関連性があるのだ。そのように彼はつねに哲学的に緻密に計算して彼独自のミニマリスム形態にまとめて芸術を表現していく。
10月11日 Phillip Corner
10月7日〜10月11日開催
Eve Risserのフェースブックで26歳のこのフランス人女性がグランドピアノの内臓と取り組む姿が見れる。ピアノの弦を自分の思い通りに改造中の我を忘れた作業姿だ。その過激な彼女の過去のApproximationでの演奏でもご存知のように僕たちをうまく呆然とさせてくれる。Eve Risser Trioはまるで、「きしむ音」をひとつずつ糸に通して長い曲線をえがく花の首飾りを作ってるみたいに感じる。ハードなものとやわらかいものがバランスよく隣あわせで糸に通されているその「音の花飾り」は、密だけれど、窮屈ってわけではない。彼女は数々のアヴァンギャルドジャズの影響を受け、それを勢いでもってアメリカ東海岸やヨーロッパクラシックアヴァンギャルドと結びつけてしまう。EveRisser Trioは楽器とパーカッションがどういうふうに
最高の形で共存できるかをちゃんと理解して知っているからすごい。
10月7日 Eve Risser Trio
オレゴン州ポートランドの出身であるPeter Broderickは2007年Efterklangバンドとのツアーコンサートのためにデンマークに渡る。この旅の途中でかれはベルリン出身のピアニストNils Frahmと出会う。数年前からNils Frahmはスカンジナビアジャズと、特にエレガントなKeith Jarettsの影響を受けたピアノ曲で人気がでている。中にはSimeon Ten Holt や Michael Nymanの影響も思わせるところがあるのだが、Broderikとの協演でまたさらに新しい形に仕上がっている。クラシックアヴァンギャルドに代わってこの2人、繊細なソングと、ちょっと違うフォークミュージックのリバイバルとも言える音の装飾性を魅せてくれる。そこには懐かしい静かなメランコリーがあって、ピアノ、歌、Brodericksのバイオリンが独特の輪郭を出している。
10月8日 Nils Frahm と Peter Broderick
坂本龍一の音楽を簡単に予告文なんかにまとめるのは無理だ。先駆的な活動については言うまでも無く、いろんな曲の数々とその傾向を生み出してきたこの日本人は過去30年間、知名度を上げ、いろんな賞も受けてきた。昔の彼のYMO時代のエレクトロポップから、昨年のFenesz と Carsten Nicolai のミニマル作品まで通して見ても、いつも彼の響きの有機物的存在はピアノなのだ。デジタル実験的テクノ音楽からのブレークポイントで急にピアノに戻ったりDavid BowieやDavid Sylvianとの協演用にもピアノを使った。さて、彼のTonhalleでのソロコンサートでは、どんなかたちで僕たちを驚かせてくれるんだろう。
10月9日 坂本龍一 Tonhalle にて
Acid−Pauli はサロンでディスクジョッキーをやっている。でも実際「Console」とか「The Notwist」のバンドメンバーとしてのほうが彼の名が知れている。彼の曲は独特のフィーリングを保ちながら、サイケデリックな80年代後半の「レイヴテクノ」あたりからエクスペリメンタル音楽にかけてを心地よくさまよってくれる。いろんな楽器を使って表現するが やはりピアノが彼の音楽の根源である。
10月9日 Acid Pauli SDA にて
Dustin O'Halloranはピアノの世界によくいる「神童」達の中のひとりである。ピアノを7歳で始め、11歳で初の作曲、…というと、どこかで聞いたような話しだが彼の場合、途中、今に至るまで辛くたゆまぬ多忙な年月があったりしてそんなに甘い人生ではなかった。Sara Loyと共にプロジェクト「Devics」を創立。それがきっかけで海外にも彼の名前が広がった。これがもとで、その後、イタリア郊外へのEmilia Romagnaへの移住、Ex−Cocteau Twin Saymonn Raymonde との出会い、Bella Union Labelによるその作品の発表、と続く。(Midlake, Fleet Foxes) そのほか彼は映画界と交流を持ち、Sofia Coppolaの映画「マリーアントワネット」の音楽を担当。そのメロディーの豊かさが彼をネオクラシックから抜け出させ、同時に薄っぺらなニューエージスタイルとは全然違うものにしている。その方向に進むのは普通ならかなり厳しいとされているが、彼はちゃんとそれ用の才能を持ち合わせている。現在彼はベルリンに滞在している。
10月10日 Dustin O`Halloran
Magda Mayas と Tony Buckは、ピアノのタクト性とその他のいろいろな打楽器とのコンビネーションを自由に混ぜ合わせて、メロディーと印象主義的徴候の全く新しいコントラストを表現してくれる。Tony Buck は オーストラリアのアヴァンギャルドジャズバンドThe Necksのドラマーで有名。(ちなみに同バンドのピアニストChris Abrahamsは2年前のApproximationフェスティバルで、すばらしいコンサートを聞かせてくれた。)Buckが今回協奏する相手は連想的な流れの中、怖いもの無しでグランドピアノの核の部分に迫る若手ピアニストMagda Mayas. Abrahamsとの演奏とはまったく違うものになるのだろうが、それにしても未知なるものを捜し求めて険しい道を選び進む彼には感心してしまう。ちょっと変わったこの音楽体験、興味深々である。
10月10日 Magda Mayas と Tony Buck
DJ Tolouse Low Trax と スペシャルゲスト
White Treeのメンバーはみな知名人だ。 To Rococo Rotのうちの2人であるRobert と Ronald Lippokは 電子音楽とかデジタル音楽と名のつく全ての音域の探求のために新構成する。彼らにこの音楽にかける熱の入れ方があったからこそ あの偉大なピアニストLudovico Einaudiに出会って一緒にこのエクスペリメンタルな新しい音色を追求するまでに至ったのだ。 Einaudiは映画音楽作曲家として有名である。Andrea De Carlo監督の「Das grosse Geld (大金)」、Nanni Moretti監督の「Aprile」、Stephen Daldry監督の「Vorleser(朗読人)」の映画音楽を手がけた。でもそれ以外でEinaudiはLippoksと共に何か作曲の限界を超えるものを探し続ける。彼のピアノのソロコンサートでは一瞬 坂本龍一やPhilip Glassを思い出してしまうが、ClusterやHarminiaみたいな音響をミニマル音楽とうまく結びつけて表現する。まさしくポップアヴァンギャルド界の鍵盤楽器音楽のフィードバックなのだ。
10月11日 White Tree (Ludevico Enaudi / Robertと Ronald Lippok)
Philip Cornerは現代絵画と現代音楽にとって、今年のApproximationフェスティバルをかざる最も重要な人物のひとりである。彼は50年代にニューヨークでFritz Jahoda, OttoLuening und Henry Cowell のもとで学び、パリで Olivier Messiaenのもとで学び60年代始めにはFluxus団体の中で目立つ存在になっていた。 韓国で習った習字技法を記譜法に取り入れたり、自らの音楽に韓国文化の要素をうまく補充して、ミニマル音楽の領域を超える新たな音の美を完全なものにしていった。彼は数多くのピアノ曲、コーラス曲、電子音楽を作曲。彼の絵画作品も彼の音楽と同じ高レベルを持ち 両者の間にははっきりと関連性があるのだ。そのように彼はつねに哲学的に緻密に計算して彼独自のミニマリスム形態にまとめて芸術を表現していく。
10月11日 Phillip Corner






